日本 杏林大學(xué)外國語學(xué)部·大學(xué)院教授
本シリーズ(1)で,語の文體的特徵の問題を取り上げた。引き続き,今回もこの問題について考える。
語の文體的特徵と語種との間にはしばしば相関関係が見られる。漢語は一部の和製の語を除けば,中國語由來のものであり受け入れ當(dāng)初は一部の知識(shí)人にしか理解されないものであった。ただし,その一部の知識(shí)人にとっても漢語は改まり度の高いかなり高度なことばであった。この點(diǎn),日本語固有の語である和語とはとても大きな隔たりがあった。今日総じて漢語には文體的に格調(diào)の高い難しい語が多いとされるのも,このような事情によるものである。
ところが,時(shí)間の経過とともに漢語の中に日常語化が進(jìn)んだものが出て來た。代表例の中でも早期のものとしては,「一」「二」「三」などの漢語數(shù)詞や「往生」「餓鬼」「殺生」などの仏教関連語を挙げることが出來る?!敢弧埂付埂溉工胜嗓悉猡悉洮F(xiàn)代において,和語數(shù)詞と同様いやそれ以上に日常的に用いられるものとなっている。<どうにもしようがなくなること。閉口>などの意味で用いられる「往生」,<手に負(fù)えない子供>の意味で用いられる「餓鬼」,<ひどいやり方>の意味で用いられる「殺生」などは,仏教世界を離れ日常語化したものと言える。
ところで,現(xiàn)代日本語における語の語種別使用數(shù)の調(diào)查では,漢語は書きことばに多く,和語は話しことばに多いという報(bào)告があるが,これは概して漢語は改まり度が高く,和語は改まり度が低いということを物語っている。つまり,改まり度から見た語の文體的特徵は,次の(1)のような関係にあるものが多いというわけである。
(1)漢語の改まり度が高く,和語の改まり度が低いもの
昨日——きのう
本日——きょう
明日——あす
今年——ことし
家屋——いえ
遊戯——あそび
開始——始まり
歓喜——喜び
しかし,次のように逆の関係にあるものも見られる。
(2)和語の改まり度が高く,漢語の改まり度が低いもの
こよい——今夜·今晚
まなび——學(xué)問·學(xué)習(xí)
いくさ——戦爭
とわ——永久
めおと——夫婦
やまい——病気
このように和語の語の改まり度が高く,漢語の改まり度が低い場合,その和語は雅語風(fēng)になっているものが少なくない。ちなみに,B社國語辭典には,「こよい」「まなび」「いくさ」「とわ」「めおと」は「雅語的表現(xiàn)」と記され,「やまい」は「雅語の動(dòng)詞『病ふ』の連用形の名詞用法」と記されている。
さらに,次のような対も見られる。
(3)一方の漢語の改まり度が高く,他方の漢語の改まり度が低いもの
昨年——去年
明年——來年
都邑——都會(huì)
「昨年」と「去年」はどちらも漢語であるが,両者は改まり度に差がある。本來この意味の和語としては「こぞ」があったが,今日ではもはや古語となっており用いられない(なお「舊年」という漢語もあるが,A社國語辭典に「年が明けてから前年をさして言う」,B社國語辭典に「年の初めに言う言葉」とあるように使用時(shí)期が限定される特殊なものである)?!该髂辍工取竵砟辍工馔瑯敜螌潳扦ⅳ?。本來この意味の和語としては「こむとし(來む年)」があったが,これも今日では用いられなくなっている。ちなみに,B社國語辭典にはこのような「昨年」「明年」は「少し改まった表現(xiàn)」,「都邑」は同じく「『都會(huì)』の意の漢語的表現(xiàn)」と記されている。
(1)と(2)では語種と語の改まり度の対庥関係が逆で,(3)では同語種間で改まり度に差があるというように,語の改まり度は語種だけでは必ずしも決まらないことが分かる。
次に,時(shí)を表す語彙について改まり度の面から分析した図を示す。
現(xiàn)代日本語における「時(shí)を表す語彙」
現(xiàn)代日本語における「時(shí)を表す語彙」
ミョウネン ライネン意〉あすミョウチョウミョウバンミョウヤ︵キュウネン︶ サクネン キョネンコンネン ホンネン ことしコンバンこよい コンヤサクジツ きのうサクチョウ高 ↑ 改まり度 ↓のミョウニチ あした〈 明日サクバンサクヤ ゆうべ〈 昨夜の意〉ホンジツ きょうコンチョウ けさ低
図からも明らかなように語の改まり度は語種だけで判斷はできない。では,どのようにすればよいか。
ここで,注意すべきことは改まり度が低い語は概して使用頻度が高いということである。例えば,改まり度の低い「來年」は改まり度の高い「明年」よりもはるかによく使用されるのであり,改まり度の低い漢語「永久」も改まり度の高い和語「とわ」よりもよく使用されるのである。
このような事宓から,改まり度から見た語の文體的特徵は,語種だけでなく使用頻度も參考にして推測するのがよいであろう。
なお,外來語はパン,バター,インターネット,モノレールなど特別な文體的特徵をもたない語が少なくないが,それは対となる和語や漢語がなく,特定の文體に限定されずに使用されるためと考えられる。